北ア常念山脈(長野) 蝶ヶ岳(2677m) 2023年7月15日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 3:39 三股駐車場−−3:51 林道終点−−4:02 吊橋−−4:11 力水−−4:18 ゴジラの木−−5:05 まめうち平−−5:41 蝶沢−−6:48 大滝山分岐(雨具着用) 6:55−−7:06 蝶ヶ岳 7:09−−7:54 蝶沢−−8:19 まめうち平−−8:48 ゴジラの木−−8:52 力水−−8:58 吊橋−−9:07 林道終点−−9:16 三股駐車場

場所長野県安曇野市
年月日2023年7月15日 日帰り
天候小雨 稜線は南西の爆風
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場三股の駐車場(第一駐車場)を利用。ハイシーズン前だが下山時はほぼ満車だった
登山道の有無あり
籔の有無無し
危険個所の有無無し
山頂の展望晴れれば大展望
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コメント梅雨前線が日本海から東北に停滞して東北北部で大雨で、北アルプスでも荒天予報だったが雨は小降りと予想されたので三連休初日に出かけた。太平洋高気圧の縁を回って前線に吹き込む南西の風が爆風予報のため、山頂直下まで風がブロックされる蝶ヶ岳へ。標高が低い谷筋でも風が強く、ハイマツ帯に出てからは風のピークでは構えていても風に押されて登山道を外れるほどの強風で、最大瞬間風速は30m/s程度あったと思う。あまりの強風にイワヒバリが飛ばずに地面を歩いてハイマツ帯に入るのを初めて見た(汗) 写真撮影する余裕もほとんど無かったが、周囲の山はガスがかかってほとんど展望は無かった。雨はずっと小雨程度。樹林帯のオサバグサ、稜線のミヤマキンバイはほぼ終わって今は標高2500m以上のミヤマキンポウゲが主役。あと1週間くらいで樹林帯のカニコウモリが見頃になりそう。3連休だけあってこの荒天でも100人くらいとすれ違ったと思うが、あの爆風では稜線の影となるテント場でも単独でのテント設営はほぼ不可能だろう


蝶ヶ岳から見た北側の展望。雲よりの下の淡い霞は雨粒。他の方向は真っ白で何も見えない状況で槍穂もガスの中だった


三股第一駐車場。雨が降っている 力水。水量が多い
ゴジラの木 午前4時半でライト不要な明るさに
予想外に常念岳山頂が見えている まめうち平
ヤグルマソウ サンカヨウ
蝶沢。まだ水が流れていた 蝶沢脇の僅かな残雪
モミジカラマツとカラマツソウの違い。花は同じだが葉が異なる。今回は雨のため花が濡れて開いていなかったのが残念
ズダヤクシュ ゴゼンタチバナ
常念岳が雨に霞んでいる オオヒョウタンボク
オサバグサ。標高2300m以上ではまだ咲いていた マイヅルソウ
オオサクラソウ。花はハクサンコザクラ等に似ているが、葉の形状が大きく異なるので容易に見分けられる
標高2500m付近のズダヤクシュ 登山道脇のミヤマキンポウゲ
セリ科の何か。葉の形状からしてハクサンボウフウっぽいが・・・・ セリ科は花がほぼ同じなので葉で見分けるしかない
シナノキンバイ ツマトリソウ
森林限界に出る直前に強風に備えて雨具着用(ここまでは傘) ベニバナイチゴ
雪が消えたお花畑 アオノツガザクラ
僅かに咲き残ったミヤマキンバイ コイワカガミ
ミツバオウレン ミヤマキンポウゲ
標高2650mでもズダヤクシュ。もう高山植物の範疇だ キヌガサソウ
マイヅルソウも標高2650mでも咲いていた ハイマツ帯に出ると予想通りの爆風で登山道外に押し出されそうになる
コケモモの群落 コケモモの花。開花しているのは今年初めて見た
ハイマツの影のバイカオウレン バイカオウレン。花弁がミツバオウレンより広い
テント場脇のお花畑は早くも終盤 お花畑のヨツバシオガマ
上高地に下山するパーティー 葉の付け根の形状からハクサンシャクナゲ
蝶ヶ岳山頂 山頂から蝶ヶ岳ヒュッテを見る
シナノキンバイ 標高2350m付近のオサバグサの群落
マルバダケブキ カニコウモリは開花直前
蝶沢 どうやらランの一種のキソチドリらしい。初めて見た
まめうち平 ギンリョウソウ
チダケサシっぽいが自信なし ツルリンドウっぽい
コバノイチヤクソウ。イチヤクソウは平地にしかないらしい ゴジラの木は撮影場所として人気
力水 高校パーティーと思われる10人前後
ユキノシタ科チダケサシ属の何か 標高が低いがセンジュガンビに間違いなさそう
三股分岐 アジサイ
登山指導所には人が入っていた 林業作業者の車の列
キツリフネ。ツリフネソウの黄色いやつ ツリフネソウ
今年初のソナバ 今年初のウツボグサ
クイガイソウ。標高が低いせいか花がやたらと長い 三股着。区画は満車だが路側が空いているので少ない方


 海の日の3連休初日は梅雨前線が北陸から東北に停滞し、北陸に近い北アは悪天予報。気圧配置の影響で特に南西の風が非常に強く、ネットの予報では標高3000mで瞬間最大風速が20m/sを越えていた。ただし雨は降るものの雨量はそれほど多くない予報であった。

 前線は北アの北側にあるので基本的には南ほど天気はマシのはずで、南西の暴風を考慮すると三股起点の蝶ヶ岳しか対象は無い。このコースなら山頂直下まで稜線で風がブロックされ、ついでに森林限界が山頂直下なのでコースのほとんどが樹林帯歩きで、風雨の影響を最後まで避けられるからである。

 今回は雨確実なので、防水性能が劣化したボロゴアではなく下界用のカッパを準備。これはズボンを履くのに靴を脱がないといけないので面倒だが、防水性能はばっちりである。これに傘を組み合わせれば雨対策はOK。風が強くなるまでは傘を使用して蒸れないようにする。登山道の雪はもう無いのでアイゼン不要だ。

 3連休初日だが悪天予報なので土曜早朝の三股第一駐車場にはまだ空きがあった。雨が降っているが弱く、傘を差さないでもどうにかいける程度であり午前4時前に出発。まだ周囲は誰も動き出していない。今日の天気では屋外での着替えも大変であり、どうせ南寄りの湿った風が入って気温が高いので防寒装備は雨具で兼用とした。ついでに山頂で休憩ができる状況とは思えないので飯も持たなかった。

 林道終点から登山道へ。思ったよりは枝沢の水量は増えておらず登山道に水が流れているのは短い区間のみであった。今回は防水性能がまだある新しい登山靴なので浸水の心配はない。今の時期ならまだ蝶沢に水が流れている可能性が高いが、念のために力水で水を補給。ゴジラの木を通過して尾根に取り付くところで樹林が開けて常念岳が見える場所があるが、意外にも山頂にはガスがかかっておらず山頂が見えている。思ったよりも天は崩れていないかもしれないが、残念ながら風は目では見えない。ちなみに今はまだ谷底に近い位置にいるが、ここでも風が強くて木々の葉がざわついているので稜線の風は相当なものだろう。樹林の中なので良く分からないが、雨は降っているようだが断続的らしく常に傘を差し続ける必要はなかった。

 まめうち平手前の尾根の登りはイワカガミ、マイヅルソウやゴゼンタチバナが多く見られるが、ゴゼンタチバナ以外の花は既に終わっていた。まめうち平〜蝶沢間は前回はオサバグサが花盛りだったが、さすがにもう終わっていた。代わりにカニコウモリが咲いているかと思ったが、まだ花芽が出ている段階で開花には至っていなかった。おそらく来週くらいには花が咲いているだろう。

 蝶沢は予想通りまだ水が流れていて水場として利用可能。まだ梅雨明けしていないから当然か。ここからも常念岳が見えているが雨で靄がかかったように白っぽく見えている。これより先では花の種類が増えてくるがミヤマキンポウゲはちょうど盛り。数は少ないがシナノキンバイも咲いていた。オオサクラソウはほぼおしまいで、標高が低い場所では終わっていたズダヤクシュがここでは咲いていた。山頂直下のハイマツ帯まで見られたので、ズダヤクシュは高山植物と呼んでいいのかも? マイヅルソウも山頂直下まで見られた。標高2300m付近では1ヶ月前には存在に気付かなかったがオサバグサの群生地帯がありまだ花を付けていた。

 大滝山分岐まで登り、樹林が開ける手前で強風に備えて雨具を着用して傘を収納。山頂東斜面のお花畑の雪はすっかり解けて花盛り。ミヤマキンポウゲ、コイワカガミ、チングルマ、アオノツガザクラ、ベニバナイチゴ等に混じってミヤマキンバイが僅かに咲き残っていた。遅くまで残雪があった影響であろう。稜線のミヤマキンバイの花は終わっていた。

 ハイマツの谷を抜けて地を這うハイマツ帯に突入すると予想以上の暴風でザックカバーが飛ばされそうになり、手で押さえつけながら歩いたが、あまりの風の強さに身構えていても風のピークでは登山道から押し出されそうになるほど。おそらく風速は瞬間的には30m/s程度、平均で20m/s程度あっただろう。山頂に向かうのに常時風上側に体を傾けながら歩くほどであった。小さくて目立たないがハイマツの影ではコケモモ、バイカオウレンが咲いていた。

 この天気なのでテント場にテントは皆無。テント場は低いながら稜線が風をブロックするので西寄りの風が直接当たることはないが、それでも今回はテント場の風は尋常ではなく、とてもテントが設営できる状況ではなかった。時刻は午前7時だが蝶ヶ岳ヒュッテ周辺の人影は数人で、強風の中を全員が徳沢方面へ下って行った。

 暴風状態で体を風上側に傾けながら登って蝶ヶ岳山頂に到着。一時は山頂はガスに覆われていたが今は切れている。ただし周囲は雲が高くて北方向の蝶槍以外の山々は全て雲の中で、南側や安曇野方面も雲が沸き上がって真っ白。外れかかったザックカバーを補強するためにハイマツの陰に隠れて作業。雨はそれほど強くはないが風はべらぼうに強い。休憩できる状況ではないし疲れも感じていないので即座に下山を開始した。

 下山時もハイマツの谷間に入るまでは強風で登山道外に押し出されそうになりながら歩き、谷間に入ってようやくほっとできた。強風にあおられて体が冷えたのでしばらくは雨具を着用したまま歩く。この天気なのでいつもより登山者の出発は遅いようで、しばらくはすれ違う人はいなかった。いつもならトレランナーが真っ先に上がってくるのだが、この天気ではもしいたとしても天候の回復待ちで遅い出発だろう。予報では雨は時間経過とともに上がるはずだが、強風は明日まで吹き続けるとのことだった。

 帰りは十分に明るくなったので花の撮影をしながら。でも花が風に揺れてブレやすいし、雨粒がカメラのレンズに付着しないよう傘で覆ったりとなかなか面倒であった。

 標高2400m付近から登山者とすれ違うようになる。私と同じく雨対策でザックカバーを付けているが、雨具を着用している人としていない人が半々くらいであった。開けて直接雨が落ちてくる場所と違って樹林帯ではそれくらいの雨のかかり方であり、樹林は好天時は見晴らしを無くす邪魔な存在だが悪天時は非常に助かる存在だ。途中で体が温まったので雨具を脱いで半袖半ズボン姿に変身。今日は気温が高く湿度も高いので私にとっては登りで雨具を着用したままでは汗だくになってしまい、雨具を付けずに雨に濡れるのと大して変わらないだろう。いや、雨に濡れて涼しい方が疲労は少ないだろう。

 蝶沢を横断してまめうち平へと下っていくとすれ違う登山者数が一気に増えた。いつもよりも時間帯は遅めだがこの天気でもこれだけ上がってくるとは思わなかった。おそらく合計で100人くらいいたと思う。中には幕営と思われる大きなザックにマットをくくりつけた人の姿もあったが、テント場があの風ではテント設営は事実上不可能に近いだろう。どうなったのか心配である。

 まめうち平を通過すると徐々にすれ違う人数は少なくなり、ゴジラの木で記念撮影する若者グループを見かけて力水の直下で高校生パーティーらしい10人くらいの男女混合若者団体とすれ違ってからは、ポツリポツリとすれ違うのみとなった。この時間だと山頂到着はお昼くらいだろうか、その頃には雨が上がっているといいが。登山口に近い場所では雨は降っているが僅かで、雨具は不要だった。

 標高が下がった樹林帯ではベニバナイチヤクソウに似た白い花を良く見かけた。イチヤクソウの仲間は確実なのでネットで調べるのは割と簡単だった。候補としてはイチヤクソウとコバノイチヤクソウに絞られたが、イチヤクソウは平地に分布して今回のような中高山の針葉樹林に生えるのはコバノイチヤクソウとのことでコバノイチヤクソウに確定。昨年、蓮華温泉から白馬大池間で見たのもコバノイチヤクソウだったに違いない。

 林道終点の登山指導書には人が詰めていたのを今シーズン初めて見た。まだ梅雨明け前だが3連休なので今週から入っているのだろう。林道の途中には数台の車が駐車していて、エンジン式の草刈り機を担いだ明らかに林業作業に向かうと思われるヘルメットを被った数人の集団が、水量発電用取水堰への入口を開錠して下っていった。休日の作業ご苦労様。

 林道脇でも花は楽しめる。例年のパターンで赤いツリフネソウと黄色のキツリフネは同じような場所で咲いていた。標高が低いせいかクガイソウの花はやたらと長く、標高2000m以上で咲いているものと比較して3倍くらいあるのではなかろうか。背の低い紫色の特徴的な花はウツボグサ。この花のそっくりさんにはタテヤマウツボグサがあり、私の眼力では花を見て両者を区別するのは無理であるが、葉の付け根を見ることで簡単に判別できる。ウツボグサの葉は茎から柄が延びているが、タテヤマウツボグサはほとんど柄が無く茎から直接葉っぱが出ているように見えるか、柄があってもごく短い。昨年の八方尾根で見たのはタテヤマウツボグサであった。

 三股第一駐車場に到着すると駐車区画は満車だったが路側駐車は皆無だったので、通常の週末よりは入山者は少ないようだ。すれ違った人数も少なめだったからなぁ。まだ雨粒が落ちているが空は明るくなってきたような気がする。着替えを済ませて車を走らせると第二駐車場では重機で整備作業中だった。本格的夏山シーズンを迎える前に大雨等で荒れた箇所の整備だろうか。こちらの駐車場には数台の車が駐車していた。なお、夏山シーズンで好天の週末なら第一駐車場付近の路側はおろか、この第二駐車場入口付近の路側にも縦列駐車が見られる。長期予報では今年の夏は暑い傾向とのことだが、暑くても天気が安定してくれるといいのだが。

 

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